日本は特定の宗派に属さない無宗教の方が多いと言われていますが、我々の日常生活の中に根付いている習慣の殆どは、仏教が根幹となっています。
数珠は、そんな仏教の儀式に用いられる法具の一つで、年配の方が手にしているのを見かけることがあるかと思います。
特に葬儀の際はこの数珠を持って、極楽浄土に旅立った人を悼んで合掌することが多いですね。
そういうイメージが先行してか、一般的には数珠の存在を日常生活と結びつけて考える方はあまり多くないかもしれませんが、最近は宝飾品の一種として見直されており、ブレスレット型の数珠をオシャレアイテムとして活用される方も少なくありません。
もちろん、法具ですから確固たる信心を持った上で、取り扱い方には気をつけなければなりませんが。基本的には日本人にとって身近な存在として普及するべきものなのです。
今回は、数珠に関する基礎的な知識と合わせて、どのように選びどのように扱えばいいのかをご案内したいと思います。
数珠とは一体何か?
日本人なら一度は見たことがあるかと思いますが、噛み砕いて言えば「小さな球がジャラジャラとついた腕輪のようなもの」です。
腕輪といっても、最近はストラップタイプの数珠も様々なお店で扱われており、形式にとらわれないスタイルが開拓されています。
この数珠にはお守りや厄除けの意味があり、葬儀や法事で用いられることが一般的です。
「数珠」という名前に関しても、元々は経を読む回数を数えるためのものとして扱われており、「珠(たま)」を「数える」と書いて数珠と呼ばれるようになったのです。
数珠に関する歴史的背景に関しては、すでに他のブログで詳しく記載されているので、そちらを参照いただければ分かるかと思います。
少し気になるのが、数珠はどのような素材でできているのか、という点ですね。
現在の数珠に用いられる素材は様々ありますが、仏教の開祖である釈迦(ゴータマ・ブッダ)が木の根元に座って悟りを開いたとされる菩提樹が主に用いられます。
また、高級な数珠の素材としてはラピスラズリやメノウ、マラカイトといった宝石・鉱物や、象牙やサンゴ、真珠といった天然素材が用いられることもあります。
それぞれ保存方法や使い方など特色があり、例えば菩提樹を用いた数珠は虫害に弱いため、桐箱に保管するか防虫剤を使用する必要があります。
また、ラピスラズリやマラカイトを使った数珠は汗に弱いため、夏場に着用する際は注意が必要です。
サンゴや真珠等の天然素材を使った数珠は、傷がつきやすいので丁寧に扱わなければなりません。
単純に見た目のデザインで決めてもいいですが、使用用途や頻度も考慮した上で数珠の素材を決めた方がいいでしょう。どうしても自分で判断できない場合は、専門の数珠店で相談してから決めることをオススメします。
冠婚葬祭と数珠
基本的に葬儀や法事で用いられるイメージの強い数珠ですが、あらゆる冠婚葬祭で活躍する法具でもあります。
例えば、結婚して嫁ぎ先でご先祖様にご挨拶する時は、必ず数珠を持っておきましょう。ただし、この場合は略式数珠ではなく、嫁ぎ先の正式数珠を用いるのが理想とされています。
略式数珠と正式数珠の違いについては、今度の記事で改めてご案内したいと思います。
ただ、数珠は冠婚葬祭の時にしか用いないというわけではなく、普段の生活で身につけても問題ないものです。
数珠を持つ本当の意味を理解していれば、オシャレの一環として利用しても構いません。
あなたも一度、自分にピッタリの数珠を探して、身につけてみませんか?